
昔々の平安時代、信濃国(現在の長野県)の国守(県知事)
に、平維茂(たいらのこれもち)という人がいました。
ある時、維茂が戸隠地方を訪れた時のことです。








突然、幡幕の端が持ち上がり、侍女とおぼしき若い女が顔を出し
ました。
「失礼ですが、あなた様はもしや信濃国の国守、平威茂(たいらの
これもち)様では、ありませんか?」
「そ、そうですが・・・・」


「 身に不相応なご配慮、痛みいります。
わがあるじが一献献じたいと申しております。
わびしき宴の座ではございますが、どうかお
立ち寄りくださいませ」


維茂が宴席に着座すると、先ほどの侍女がお酒を注いでくれました。


「 うーん、美しい。あの舞いを舞っている女性(にょしょう)は?」
「 わがあるじ、紅葉姫様でございます」


「 典雅な琴の調べに、見事な舞、そして、美酒、珍味・・・。
まるで夢のような・・・・。 なんだか眠くなってきた」


グーグー、スヤスヤ


「これ、起きよ、平維茂(たいらのこれもち)。 我は八幡神なるぞ」


「最前、おぬしに酒を勧めたるは、恐ろしき鬼女なるぞ。
早々に目を覚まし、これを退治せよ」


「不覚、つい居眠りをして、おかしな夢を見て・・・・」


「ゆ、夢にあらず!」


「出たな、鬼め! 平維茂が退治してくれるわ!」


「 エィッ!」
ワッハッハッハッハッハーッ!
鬼は高笑いしながら、維茂の一刀を軽々とかわしました。


「 な、なんと素早い。 何とか動きを止めなければ・・・」


バサッ!
「しめた!
錫杖(しゃくじょう)が枝にひっかかって、動きが一瞬止まったぞ!」


「エィッ!」
ギャーッ!


「全銀河、1000億の格闘ファンのみなさま、
アルファケンタウリ星が誇る最新型戦闘ロボット対地球の
サムライビトとの 真剣勝負、ご堪能いただけたでしょうか?」


「第4263回 最強宇宙生物決定戦「ヒト・キング」のチャンピオンは、
太陽系第3惑星産のサムライ・ビトに決定しました」
― おしまい ―

