「 おい、ばーさん 」
「ひゃー! で、出たー!」
「 こんな山の中にいても、野たれ死ぬだけだぞ。オレについて来い」
「 は、はぁ・・・・ 」
「 ひゃー、な、なんじゃ、このイモ虫は? 」
「 この虫はカイコといってな。マユから綺麗な糸が取れるんだ 」
「 どうだ、ばーさん、米の飯は?」
「 オラ、こんなウマいもの、はじめて食っただ 」
「 マユから糸を作るとはすごいことを考えたのー 」
「 糸が仕上がったけど、これでいいんかの?」
「 ばーさんは、手先が器用だな。その調子で頼むよ 」
「 支配人、生糸の生産は順調です 」
「 ハッハッハッ! 山に捨てられた老人を使って、
山奥の秘密工場で糸を作る計画は大成功だな! 」
「 た、大変ですっ! 本国にピーチ軍が攻め込んだそうです 」
「 えーっ! あのモモタ将軍率いるピーチ軍が! 」
「 すぐに本国に戻ろう! 」
「 鬼さんたち、どこに行ったんじゃろうか?」
おばあさんは、取りあえず村に戻ることにしました。
「 お、おっかさーん!」
おばあさんがその時持って帰ったカイコのおかげで、村は豊かになり、『姥捨て』
の風習はなくなりました。
おばあさんが村に戻った日は、『敬老の日』として祝われるようになったそうです。
― おしまい ―